この記事の要点
- 回線は「共用か専有か」「上限帯域」「固定IPの可否」など5項目を契約前に確認します。
- 電源容量とデスク環境は、モニター複数枚や開発機を置く前提で見ておく必要があります。
- 入退室管理・ネットワーク分離など、受託開発で求められがちなセキュリティ要件も解説します。
IT企業やエンジニアチームがレンタルオフィスを選ぶとき、立地や賃料以上に効いてくるのがネットワークと電源の条件です。ここを軽視すると、入居後に「オンライン会議が途切れる」「ブレーカーが落ちる」といった問題に悩まされます。この記事では、技術職のチームが契約前に確認すべき要件を具体的に整理します。
ネットワークで確認すべき5項目
1. 実測速度(内覧時に必ず測る)
「光回線完備」という表記だけでは何も分かりません。共有回線を数十社で分け合っていれば、平日の日中は大きく速度が落ちます。内覧時にスマートフォンやノートPCで速度測定を行い、下りだけでなく上りも確認してください。動画会議や大容量のデプロイでは上り速度が効いてきます。
2. 有線LANが使えるか
安定性を求めるなら有線が確実です。区画内にLANポートがあるか、なければ後から敷設できるかを確認しましょう。壁面の配線ダクトの有無で可否が変わります。
3. 専用回線を引けるか
共有回線では要件を満たせない場合、自社で回線契約を結んで専用線を引けるかが重要になります。ビル側の空き配管、施設側の許可、工事費用の負担者を確認してください。施設によっては一切不可のこともあります。
4. VPNとポートの制限
共有回線ではセキュリティ上の理由から特定ポートが閉じられていることがあります。社内システムへのVPN接続、SSH、開発用のポートが使えるかは、実際に接続テストをさせてもらうのが確実です。
5. 固定IPアドレスの取得可否
IP制限のかかったサービスや顧客環境にアクセスする場合、固定IPが必要になります。共有回線では基本的に取得できないため、専用回線とセットで検討することになります。
電源とデスク環境
エンジニア1名あたり、ノートPC・外部モニター1〜2台・ドッキングステーション・スマートフォン充電と、コンセントは4〜6口必要になります。一般的なオフィス区画はデスク1台あたり2口程度しか想定していないことが多く、すぐに不足します。
- 区画内のコンセント口数と位置
- 電源容量(ブレーカーの許容アンペア数)
- 電源タップの持ち込み可否
- モニターアームを机に固定してよいか
- デスクの奥行き(モニター2枚なら70cm以上が快適)
- 昇降デスクや自前什器の持ち込み可否
電源容量は特に重要です。同じ区画で複数人がハイスペックPCとモニターを使うと、契約アンペア数を超えてブレーカーが落ちることがあります。内覧時に「この区画の電源容量は何アンペアですか」と具体的に聞いてみてください。
セキュリティ要件
受託開発やSaaS運営では、顧客から情報管理体制について確認を受けることがあります。契約前に次の点を整理しておくと、後の説明がスムーズです。
- 個室の施錠方式と鍵の管理者
- 入退室ログが記録・照会できるか
- 防犯カメラの設置範囲と録画保存期間
- 共有回線がネットワーク的に他社と分離されているか
- 書類の施錠保管とシュレッダーの有無
- 清掃スタッフの入室ルール
ISMS(ISO27001)やPマークの取得・維持を予定している場合は、審査で物理的セキュリティが問われます。要件を満たせる区画かどうか、認証取得の実績がある施設かを事前に確認しておきましょう。
働き方に合わせた環境
開発チームは、深い集中を要する時間と、モブプロやレビューのように会話が必要な時間が混在します。個室に加えて、フォンブース、ラウンジ、集中席が揃っている施設だと働き方の幅が広がります。24時間利用の可否も、リリース作業や海外チームとの連携がある場合は必須条件になります。
まとめ
IT・エンジニア企業のオフィス選びでは、回線の実測速度、電源容量、セキュリティ要件の3点が立地や賃料と同じくらい重要です。いずれもパンフレットには書かれていない情報なので、内覧時に自分の機材を持ち込んで実際に試すのが最も確実な確認方法です。可能であれば、実際に使うメンバーを内覧に同行させることをおすすめします。


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